日本中が祝福する星野源さんと新垣結衣さんのご結婚。今回記すのは『逃げるは恥だが役に立つ』のワンシーンだった瓦蕎麦であります。2016年11月、買い出し一時帰国も兼ねてビートルに乗って九州で訪れた北九州市門司に立ち寄った際の記録です。
この時に食べたものの中で印象的だった一つが瓦そば。ドラマ中では、山口県出身という設定の平匡さんが幼い頃の追憶を語るシーンで出てきた山口県のご当地グルメでした。その「元祖瓦そば たかせ」の支店が門司港にもあります。
店があるのは門司港レトロという場所。その名の通り、貿易や本州との往来で栄えた門司港周辺に残る古い街並みを活かした観光地で、たかせの支店は海峡プラザという商業施設の2階にあります。私は鉄道記念館で「鉄分」を補給した後、ランチタイムを避けて13時過ぎに訪れました。
「たかせ」の本店は山口県下関市、川棚温泉にあります。
「逃げ恥」の中で平匡さんの少年期、おふくろさんが普通の蕎麦で瓦そばらしきものを作ってみたところ、頑固な親父さんが「茶蕎麦じゃないと瓦そばじゃない!」といった理由で怒る回想シーンがあった通り、麺が茶蕎麦なのが特徴。
親父さん、怒っただけではなく、「これが本当の瓦そばじゃ」と、瓦そばを食べさせてあげるため専門店に家族を連れて行ったエピソードもありましたが、その店がたかせ・本店ではと思います。
昼時ともなると行列が出来ることもあるようですがすんなり入店できました。
店に入ってすぐ左に広間があり、遠足で来たらしい幼稚園児達が何やらお子様ランチっぽいものを食べている姿を見掛けましたが、こういったメニューもあるのですね。暫くすると「ごちそーさまでした!」という園児達の声が聞こえてきました。誠に微笑ましい。
中に入ると広々とした店内。
"瓦そばうな茶定食"というランチセットを注文。
暫くすると瓦そばが運ばれてきました。熱した瓦の上に茶蕎麦、錦糸卵、牛肉、海苔、そしてレモンと紅葉おろしが載っています。
一人前でも立派な瓦に載って出て来ると茶蕎麦の香りが漂います。
ざるそばのように冷たいつゆではなく暖かいつゆ。紅葉おろしを溶いて軽くレモンを絞ります。このレモンがポイントで、瓦に引かれた油分や肉の風味と調和させてくれるように感じます。
このパリパリに焼けた部分がまた旨い。中華のカタ焼きそばや韓国の石焼ビビンバ的な、ちょっとジャンク感も入り混じった独特の旨さと言いましょうか。ここで効くのが茶蕎麦の風味で、肉と若干甘口の蕎麦つゆを調和させる触媒的な役割(?)と言いましょうか。
そして茶碗サイズの鰻。長年愛知県で暮らした私には懐かしい"ひつまぶし"であります。 先ずはそのまま鰻と飯を食し、次いで薬味を投入、最後は出汁を掛けてさらさらと平らげる、三段階の楽しみがあります。久々に食べた奈良漬も旨い。鰻と奈良漬。カレーと福心漬けに匹敵するコンビであります。
やはり日本のうな丼は旨い。
久々に日本の鰻も食べることが出来て嬉しい限りでした。
持ち帰りセットもあります。土産に買って帰れば、ドラマ中で平匡さんとみくりさんがホットプレートで作ったように、私も古女房と「お家でラブラブ瓦蕎麦タイム」を楽しめたのに、買うべきだったと後悔しています。
堪能しました、山口の郷土料理・瓦蕎麦。こういった地方の店で味わう個性的な蕎麦と言うか、蕎麦から派生した郷土料理は旨く、楽しい食事でした。