メルセデス・ベンツ博物館訪問記の最終編です。8階から順に観覧し、コンセプトカーやプロトタイプが展示されている地上階まで降りてきました。
実験車・コンセプトカー・プロトタイプ
C111(1969)
ミッドに搭載するロータリーエンジンは3ローターで最大出力は280PS。その後4ローター・350PSまで発展したものの燃費はやはり極悪。当時REに取り組んだ他メーカーと同様、オイルショックと排ガス対策の困難さからメルセデスもREプロジェクトを打ち切りました。
テーブルのようなステージ上に展示されていたのでディテールまで観察できなかったのは残念でした。
デザイナーはブルーノ・サッコ。リアクォーターが梁のようになっているのはマセラティ・メラクにも通じる造形です。
C111-III(1978)
RE断念後、C111プロジェクトは高性能ディーゼルにスイッチ。このタイプには5気筒ターボディーゼルが搭載されています。
T-80 速度記録車(1940年頃)
ナチス時代に国威発揚を狙ってフェルディナント・ポルシェ設計で製作されたレコードブレーカー。ボディーはジュラルミン、エンジンは航空機用の液冷倒立V12で3,000PSなので限りなく飛行機に近いですね。
後のシミュレーションでは時速600キロも可能ではあるものの空力バランスは問題があることが判明。結局走らせる道を整備させているうちに戦争が激化し計画が中止になったのは結果的に幸いでした。
その他、記録挑戦車やコンセプトカーの詳細は割愛します。
190E 2.6 カブリオレ(1990)
プロトタイプでは駐車場階のショーケースにこんなのが展示されていました。190E(W201)ベースのカブリオレ。
ややヒップのボリュームが気になるもののすぐに市販できそうな完成度。しかし、結局市場投入されたのは300CEカブリオレでした。
別館?...Mercedes-Benz Center
ミュージアムに隣接する”Mercedes-Benz Center”。
マイバッハのコンセプトカーが展示されていました。
ミュージアムショップ
ベンツ純正首振りダックスフンド。
300SLRローリングシャーシのスクラッチ模型の価格は3万5千ユーロ。
メルセデス純正レストア車 "All Time Stars"
メルセデスのクラシック部門でレストアされた車両が販売されています。
流石はメーカー純正のクオリティ。でもお高いんでしょ...
例えばこちらの1993年式320CEは39,890ユーロ≒550万円と、頑張れば手が届く価格。
紺色のソフトトップも凛々しい1987年式300SLは59,890ユーロ≒830万円。上手い値付けです。
流石に1971年式の280SE 3.5カブリオレは”auf anfrage”≒応談となっていました。
最後に
展示のレイアウトや順路が適切で、また、無粋なロープなども無いので非常に見やすいミュージアムでした。各時代の文化や世相と絡めるなど、もうちょっと遊び心があっても良い気もしますが、この生真面目な雰囲気もドイツらしいと言えるかも知れません。