メルセデス・ベンツ本社所在地、シュツットガルトの同社博物館を訪問した記録です。同市にはポルシェの本社と博物館もあり、勿論そちらも訪れました。
今回も現地で見たもの撮ったものをひたすら振り返ります。展示車名や年式などはその場での記録や公式サイト、Wikipediaなどのネット情報、別冊CG「自動車アーカイブ」(二玄社)などを参考にしました。色々と私の思い込みや間違いがあると思いますが何卒ご容赦を。
場所
私はレンタカーで行きましたが、例えばシュツットガルト中央駅から最寄りのNeckarpark駅へは近郊電車Sバーンで一本で行けます。
同じエリアにはメルセデスアリーナやサッカーグラウンドもあります。
館内へ
2023年時点の入館料は12ユーロで特に予約は不要。オーディオガイドは日本語チャンネルもありました。
先ずはエレベーターで8階まで上がり、順路に沿って展示を見ながら降りるという構成になっています。
備忘も兼ねてスキャンしたパンフレット。ディーゼル(6F)や安全技術(4F)に特化した展示エリアもあることにメルセデスらしさを感じます。
自動車の発明(8階)
エレベーターを降りると自動車誕生前の移動手段だった馬が出迎えてくれます。
ベンツ・パテント モートル ヴァーゲン(1885)
自動車の始祖、メルセデスの一号車として世界各地の自動車博物館にレプリカが展示されているお馴染みの存在。そういった需要に応えるためか、メルセデスのクラシック部門に注文すれば販売してくれます。
当時の特許。
ダイムラー1号車(1886)
こちらは4輪。一応フロントの2輪をステアするようになっていたりと既に現代の自動車に通じる機構も見受けられます。
Reitwagen/リートワーゲン(1885)
こちらもダイムラー氏の作で世界初のオートバイとされているようです。
3人のパイオニア
カール・ベンツ、ゴットリープ・ダイムラーとヴィルヘルム・マイバッハ。
メルセデスは昨年正式社名をDaimler AGからMercedes-Benz Group AGに変更しました。しかし、ハイエンド乗用車のブランドとしてマイバッハの名が使われているのに対しダイムラーの名は分社化したトラック部門の持ち株会社に残っているものの冷遇されているように感じます。欧米人には語感が良くないのでしょうか?
世界最初のトラック...Daimler Motor Lastwagen(1896)
積載量は1.5トンと中々のもの。顧客にはビール醸造所もあったというのがドイツらしいですね。
黎明期のモビリティ
上記以外にも鉄道車両や船など興味深い展示が多々ありましたが、調べだすとキリがないので写真のみ載せます。
メルセデスブランドの誕生(7階)
ダイムラーの有力ディーラーを経営していた大富豪が自分の娘の名前を付けるよう求めた結果ブランド名がメルセデスになり、そして1926年にベンツと合併して今のメルセデス・ベンツに至ります。
フロントエンジン+ラダーフレーム+後輪駆動というその後に繋がるレイアウトが確立されてゆきます。
夜間も自動車で走る時代が来たことを物語る大きなヘッドライト。
Mercedes-Simplex 40PS
現存する最古のメルセデス。また、「走行性能優先、2シーターの市販車、(相対的に)低い車高」という定義から見ると史上初のスポーツカーとされる説があります。
Mercedes-Simplex 60PS Reiselimousine(1904)
この辺りでスリーポインテッドスターが登場。
20/35 PS Benz landaulet(1909)
この時点ではまだ合併前なのでベンツはまだベンツでした。
戦間期のメルセデス・ベンツ
第一次大戦で敗れ、巨額の賠償金やハイパーインフレで疲弊する中で外貨を稼ぐという大義名分も有って(有ったからこそ)技術と贅を尽くしたハイパーカーが並びます。
Mercedes 10/40 PS Sport(1923)
Mercedes-Benz SS(1930)
この辺りからメルセデス・ベンツになります。
Mercedes-Benz 500K(1936)
Mercedes-Benz 540 K Cabriolet B(1937)
Mercedes-Benz 770 ”グロッサー・メルセデス” Open Tourer(1937)
昭和天皇の御料車はセレブリティのメルセデスとして4階に展示されていました。
ディーゼル・メルセデス(6階)
Mercedes-Benz 260D Pullman sedan(1936)
世界初の量産ディーゼル乗用車。
Mercedes-Benz Lo 2000 Diesel(1932)
右側は世界初のディーゼル小型トラック。積載量は2トン。
1万2千台以上生産されたそうで、商業的にも成功作だったと言えるでしょう。
メルセデス・ベンツ博物館訪問記(2)バス、トラック、事業用車編に続きます。