前回のポスティングではAF-S 18-300mmの不具合を修理したことについて書きましたが、このレンズ、初期不具合はあったものの使い勝手・写りも中々良くて気に入っています。また、購入から1年近く経ったので私なりのレビューを記します。
ニコンもケチなものでフードは別売り。しかも価格は約3千円。
AF-S 18-300mm f/3.5-6.3
ズーム倍率16.7倍、35mm判換算で焦点距離27-450mmという一昔なら考えられなかった広角から超望遠をカバーする高倍率ズームレンズ。10年近く前、AF-S 18-200mmを超高倍率だと思いながら使っていましたが、今やタムロンに至っては16-300mmや18-400mmまでラインナップに有ったりと技術革新を感じます。
懐かしのD300 + 18-200mm
18-300mmの実売価格は7万円代。前述の18-200mmを購入した際の価格は約10万円程度だったと記憶しており、スペック・価格共に隔世の感があります。
AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-200mm f/3.5-5.6G IF-ED
外径77mm × 長さ96.5mm 重量: 560g
AF-S DX Nikkor 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR
外径78.5mm × 長さ99mm 重量: 550g
200mmから300mmにUPしているのにサイズは殆ど変わらず、重量は10gですが軽くなっています。
ニコンにはテレ端がちょっと明るいAF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-5.6G ED VRというのもありました。外径83mm × 長さ120mm、重量は830g(!)、メーカ希望価格は約15万円という大柄で高価なレンズ。2012年の発売ながら既にディスコンになった短命な謎レンズでした。それはさておき、以下、私なりに感じたことを記します。
長所
- 16.7倍はとにかく便利。特に、レンズ交換を避けたいシチュエーションで有難みを感じる。
- 絞り解放ではやはり甘いと感じるが少し絞ると「高倍率ズームにしては」という但し書きは不要なほど良く写る。望遠側はまあまあ。
- VR=手振れ補正がめちゃくちゃ良く効く。体感的には私が今使っているレンズの中で一番。300mmでもシャッター半押しにした瞬間に被写体がピタッと止まる。
短所
- 最短撮影距離が0.48mとやや遠い。
- AFは遅いと言う程ではないが速いとは言えない。
- ズームリングのトルク感が一定ではない。
- f/11辺りから回析の影響が現れ始める。それ以上絞っても極端に悪化することは無いけどピリッとしない。→晴天でも絞り込むのはf/8~9程度に留めて使ってます。
- 質感はそれなり。距離計の表示窓も無く(実害は無いけど)高級感は乏しい。
作例も交えながら
16.7倍の威力
南フランス・グルノーブルで撮ったものです。やはり海外の旅先でこれほどのレンジを1本でカバー出来るのは有難いと実感しました。
ワイド端18mm
上の写真左下、橋の辺りをテレ端300mmで撮影。
暑い日だったので解像感の参考にはなりませんが。
グルノーブルでの写真をもう一枚。これは約100mmでした。
晩秋の九州・大牟田の炭鉱跡にて。
ナノクリではありませんが今までのところ妙なゴーストやフレアが出たことはありません。ただ、ここはもっとアンダーで撮るべきでしたね。
もうちょっとほんわりボケて欲しいですが私が旅レンズに求める基準からは不満はありません。
都井岬にて。天然記念物の野生馬。
と、ここまではこのレンズが最も活躍しそうな旅先でのスナップを中心に載せました。
どこまでデジタル補正しているのか?
16.7倍の高倍率、さてはこいつ、カメラ内で思い切りデジタル補正しているんだろ?と、うちの近所で実験ショットを撮って観察してみました。晴天でのワイド端。さぞかし周辺減光を補正していると思いきや...
先ずはJPEG撮って出し。
次はCapture NX-DでRAWデータの補正を全てオフ。意外と変わりません。
色収差ははっきり現れました。ご覧の通り右側が補正Off。柱の左右にはっきり滲みが現れています。
歪み補正を見てみます。
適当なものが無かったので近所の汚い煉瓦の壁ですがご容赦下さい。
18mm
約60mm
105mm
300mm
『夏休みの自由研究』的に好奇心からやってみたもので、純正レンズならカメラ側で補正してくれるので実害はありません。しかし、ニコンサードパーティ製レンズの補正は非対応の筈。更に高倍率のタムロンの16-300mmや18-400mmならどうなるのか?興味が沸きます。
お薦め出来るレンズですが...
ここまで色々書いた上でアレなんですけど、私の場合、このレンズの出番はそれ程多くはありません。最近はD500のキットレンズとして購入したAF-S 16-80mm f/2.8-4 VRの使用頻度の方が多いのが正直なところです。
改めてその理由を考えてみると...
- やはり解放f値は明るいに越したことは無い。
- 総合的に写りが勝っている(そりゃ一応"金の環"レンズなのでズーム倍率が全然違う18-300mmと差が無ければ困ります)。
- 設定の自由度が高い。f/16程度までなら回析が気にならない。
- D500のキットレンズに設定されるだけあってバランスや感触が良い。ズームリングの回転にムラが無くスムーズ、撮っていて気分が良い。
- 16mm vs 18mm=たった2mmの違いでも広角端の差は大きい。
- エアショー絡みの旅が最近は多く、その場合は80-400mmか200-500mmも持って行くので望遠これら2本で撮っている。
...といったところです。
尚、18-300mmのVRはON/OFFのみでACTIVEモードはありませんが前述の通り18-300mmのVRはとても強力。ACTIVEが無いことで不便や不満を感じることはありません。
それでも旅や航空ショーには必ず持って行きます
その理由は...
- トレッキングなど、なるべくレンズ本数を減らしたい状況
- 万一望遠レンズにトラブルが起きた際のバックアップ
- 旅先の空港ターミナル内からのスポッティング撮影
- 雨天のエアショー: レインカバーも持っていますが雨の中でデカい望遠レンズは出したくないし、そもそも雨の中でレンズ交換などしたくないのでコンディションが悪い場面では傘+タオル+このレンズで済ませる。
余談
18-300mmの購入に際しフルサイズの28-300mmは下取りに出しました。高倍率ズームを愛する私ですが手元に1本有れば十分。また、FXの28-300mmから乗り換えてみて高倍率ズームはフルサイズよりも小さいフォーマットで使う方が軽快で楽しいと感じます。