勤務先のリフレッシュ休暇で行ったヨーロッパ。その際にドイツで借りたレンタカー、ボルボ V70のインプレッションとドライブの記録です。
Webで予約した際にはベンツCクラスワゴン又は相当車種ということで申し込んでいたので、CクラスかBMW3シリーズあたりが来るだろうと思っていたら、割り当てられたのはV70。
Volvo V70
ボルボには大人しい実用車というイメージしか持っていなかったので、初めは少々がっかりしたのが正直なところでしたが、乗ってみると中々のものでした。
インプレッション
- 先ず、座り心地の良いシートと広々とした室内が心地良い。
- ピラーのレイアウトを注意深く設定しているようなのと、角ばったデザインも相俟って運転席からの見晴らしが良く、大柄なサイズを感じさせない&車体感覚が掴み易い。
- 市街地でもアウトバーンでもフラットでカドの無い落ち着いた乗り心地。一方、欧州車としてはソフトサスの割りには高速クルーズでも不安を感じるようなことは無かった。
- エンジンは素晴らしい。全てガソリンエンジン並みとはゆかないが、ディーゼルとは思えないほど静かで、アイドリング中の振動もほとんど気にならない。
- アウトバーンの合流のような場面ではディーゼルならでは、低回転からモリモリの大トルクを活かして、ちょっとビックリするほどのダッシュ力。
- 久々のマニュアルシフトは楽しかったがシフトフィールは少々曖昧な感じ。特に、右下の6速はゲートが曖昧で、誤って4速に入れてしまうことが何度かあった。
- プッシュ・プルで操作する電子式パーキングブレーキはATなら問題無いのだろうが、MTだと坂道発進で使い辛い(後述)。
それにしても、近年のディーゼルは良いとは聞いていましたが、こんなに洗練されているとは思いませんでした。それから、やはりMTは楽しいですな。大トルクに押されながら大トルクを満喫しながら3速でフル加速するような場面での爽快感は格別でした。
フランクフルト中央駅からスタート
借りたのはフランクフルト中央駅のEuropcar。駅構内にレンタカー各社のカウンターが並んでいます。
カウンターで手続きを済ませ、少し離れたパーキングで車を受け取ります。受け取る際、係りのおじさん立合いの下で傷の有無を入念に確認するところにドイツらしさを感じました。
予約時に指定していたのはベンツCクラス or BMW3シリーズクラス相当。このクラスならATだろうと勝手に思っていたらMTでした。ヨーロッパのレンタカーでAT指定すると結構な金額の追加料金が必要です。
MTを運転するのは10年振り以上。エンストにビビリながら恐る恐るフランクフルトの街を走り出します。ん、俺、ちゃんと乗れるじゃん。小生、初めての愛車がMTだったので10分程乗ったら感覚が戻りました。
この為に国際免許を取ってきたカミサンには申し訳無かったですが、「パパ、運転上手!」と家族に言われ、お父さんの威厳をちょっと取り戻したかな?
アウトバーンへ
アウトバーンに入ります。この日の目的地はジンスハイムとシュパイヤーの交通技術博物館を経てロマンティック街道のローテンブルク。
さあ飛ばすぞ、とアウトバーンに入ったものの、フランクフルト近郊区間は120km/h制限。しかし、周りの車はプラス20km/h程度なので私もペースを合わせて走ります。
速度制限区間が終わり、スピードを上げてみます。
とりあえず180km/h。余り「飛ばす車」というイメージの無いボルボですが、とても安定しています。そして、この速度でも室内は静かで普通に会話できます。
純正のビルトインナビが付いていました。見易さは申し分無いもののややアナウンスのタイミングが遅く、曲がるところを行過ぎてしまうことが何度かありました。
アウトバーンは私が知る限り通行料無料。迷ったら無理な車線変更などはせず、次のインターで降りて引き返しましょう。
F1ドイツGPで有名なホッケンハイムの標識。
目的地その1、ジンスハイム博物館が見えてきました。アウトバーンからもミュージアムの目玉であるコンコルドとツポレフTu-144が見えます。
ミュージアム駐車場にて。
ジンスハイム博物館の後は長閑な田舎道を走り、姉妹館であるシュパイヤに向かいます。1日に交通博物館を2軒ハシゴするという贅沢な時間でした。
シュパイヤーにて。
二つのミュージアムを堪能し、古城が見える街道やアウトバーンを経てローテンブルクに向かいます。
前の交通量が空いたのを見計らってアクセルベタ踏みしてみました。
210km/hにちょっと届かないぐらいが最高速のようです。
2リッターのディーゼルとしては中々の俊足と言えるでしょう。
狭いローテンブルクで車庫入れに四苦八苦
ローテンブルクのホテルの駐車場が狭くて難儀しました。中世からの古い城塞の街で道幅が狭い上、駐車場入り口は車幅ギリギリ、しかも前は石畳の坂道なのです。
翌日、ロマンティック街道にて。
上の写真からトリミングしたものです。日本人観光客にも人気のルートなので日本語が書かれた標識もありました。
古い街が見渡せる所に車を停めます。
このように好きなときに好きな場所に車を停めたりと、自由に行動できるのがレンタカー旅の醍醐味であります。
ディテールを観察
ガソリン、じゃなかった軽油を入れたついでにあちこちを観察してみました。ブレブレ写真でお恥ずかしいですが。
ターボディーゼルエンジン。
帰国後にスペックを検索してみたところ、排気量は1984ccながら最高出力は163馬力とディーゼルとしては中々の値、トルクは41kgmもあります。
とても作りの良いインテリア。ダッシュボード周辺からミシミシ異音が絶えないうちのIS250よりも仕上げや質感は上です。何と言うか、無理に分不相応な高級感を出そうとしない、ある意味肩の力を抜いて造った雰囲気と言えましょうか。
あっさりしたデザインのメーター。
サイドミラーはBMWやレクサスと同様に外側の曲率が異なるタイプ。
イグニッションスイッチ。
洒落っ気は無いデザインですがこの辺りの作りも申し分ありません。
ライトスイッチの右横に給油キャップとトランクゲートのオープナースイッチがあります。考え過ぎかも知れませんが、左側にはフォグランプのスイッチがあり、走行中に誤って押してしまわないかちょっと心配なレイアウトです。
そしてライトスイッチの下奥にあるのがパーキングブレーキ。 坂道発進では右手でシフトレバーを動かし、ペダルでクラッチ合わせをしながら左手を奥に伸ばしてパーキングブレーキを解除、更に車庫入れの時などはハンドル操作も同時にしなければならず、これはいただけません。やはりMT車には昔ながらのサイドブレーキが一番です。
目的地ミュンヘンの少し手前にて最後の休憩。
いいぞ、V70
2泊3日借りたV70、返却する際に寂しさを覚える良いクルマでした。また、余談ですが、IS250よりもボルボの方が作りが良い部分が散見されるのは(特に内装)レクサスオーナーとしては複雑な心境でもありました。
日本市場での新車価格で比べると...
- ボルボ V70 2.5T LE: 503.0万円
- レクサス IS250 Ver. L: 500.1万円
キャラクターは違いますが同価格帯。尚、V70の車幅は1890mm。体積ではなく幅"で考えると日本でこのサイズはちょっと持て余すかも。その点を除けば、ほぼマイナス要素が見つからないと言うと誉め過ぎか?
返却するのが名残惜しく感じる良いクルマでした。