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ソウル在住の日本人が旅行,飛行機,くるま,鉄道,韓国生活について書いております。

あいち航空ミュージアム訪問記|YS-11,零戦52型, 三菱MU-2,MU-300,MH2000

MRJミュージアムと同じ日に訪れた「あいち航空博物館」の訪問記です。これも2018年5月の旧ブログ記事をインポート修正したものです。

MRJミュージアム訪問記編

場所と公式サイト

公式サイト

aichi-mof.com

館内へ

2階エントランスホールに展示されているのは懐かしいJASのMD-90。

ダ・ヴィンチのヘリコプター

入館して最初に展示されているのは500年以上前にレオナルド・ダ・ヴィンチが構想したヘリコプター。


ANAの便名コードが"NH"なのは"Nippon Helicopter"が由来です。


B767"モヒカンジェット"、2012年12月セントレアにて撮影。

名機100選...1/25スケールの模型展示

田中祥一さんというモデラーが20年の歳月を掛けてスクラッチ製作した1/25スケールの模型が100機展示されています。


100機の選定は日本航空工学の草分けで日大名誉教授だった木村秀政さんによるもの。簡潔でポイントを押さえた説明が分かり易いのがGoodです。


ゼロ戦や隼も当然100選に含まれています。


旧名古屋空港に展示されていた古いものも含まれており、キャノピーが黄色く褪色しているものも一部ありましたが、これも模型コレクションの歴史を物語る部分なのでこのままが良いと私は思います。1/25スケールで統一されているので二式大艇のデカさを実感できます。


モヒカンカラーのYS-11。
機体やエンジンの金属的な質感が見事に再現されています。


エンジンを機首に搭載しているのが特徴的なH-19救難ヘリ。機首のカバーまで精巧に作り込まれていてミラーで下部も観察できます。


機首のハッチやドアが開いているC-1輸送機。


日本も深く開発に参画した767。

ここまでが100選の模型展示でした。

DC-10はJALからの寄贈品でしょうか。機内も作り込まれています。


787は旅行会社や空港ラウンジに置いてあるような簡易的な模型でした。767よりも更に日本が深く参画した787なので、これも精密な模型をお願いしたいところ。

飛行機の歴史

内容は分かり易くて良いのですが、文字+写真だけというのは寂しいですね。所々に各時代の映像なども織り交ぜれば単調にならないのでは。

実機展示

私が訪れた際に展示されていた零戦実機は三菱に返却され、現在は実物大模型が展示されています。また昨年11月から元ブルーインパルスのT-4も展示されています。

YS-11

要人の移動にも使われた機体で昭和天皇も搭乗されたことがあるそう。


美保基地に所属していた機体。ランディングギアはMRJと同様に住友精密製です。


アンコリ(衝突防止灯)の形状やアンテナのケーブルが時代を感じさせます。

通常は機体下には入れませんが、我々はヘルメットを被って機体点検したりフライトシミュレーターで操縦したりする「職業体験」というプログラムに参加したのでこういった部分も観察できました。

職業体験のプログラムにはYS-11シミュレーターの操縦も含まれます。

零戦の実機

「飛行機の工房」と書かれた囲いの中に「暫定展示」という位置付けで展示されていました。



この展示方法には色々と経緯があったようです。

== 産経WEST 2018.1.10記事から引用 ==

しかし、ゼロ戦の展示は順調に進んだわけではなかった。博物館の計画は平成27年5月に県が発表。館内の完成予想図のイメージパースに展示機としてゼロ戦が描かれたことで、県議会では一部議員から「多くの若者が命を落としたゼロ戦の展示は戦争美化につながる」と反対の声が上がった。

地元の前豊山町長も「若い子にそういうものを見せて、興味を持たせたくない。戦争反対です」と抵抗感をあらわにし、ゼロ戦展示は議論の焦点となった。こうした経緯もあり、県は28年12月議会に提出した予算案にYS11など民間機の展示は盛り込んだものの、ゼロ戦は見送った。

しかし、ゼロ戦は県内が当時の一大生産拠点で、世界最高水準を誇った機体でもあり、次代の航空産業の振興を考える航空博物館の展示に「ゼロ戦は欠かせない」という県民の声もあった。

このため県は展示を再検討。三菱重工史料室が29年5月から改装のため休館となったことで「移転展示」するという形とし、YS11などの正式展示とは別にコーナーを設けて暫定的に展示することとした。県担当者は「(ゼロ戦展示は)どうしてもということではないが、地元ゆかりの航空機を考えたときに避ける理由もない」と説明する。

今の時代にここでゼロ戦を見て戦争を美化するような青少年がいたら純粋過ぎてそっちの方が心配です。純粋に日本の産業技術遺産という観点で見れば良いと思うんだけどなあ。ドイツの博物館ではWW2期のメッサーシュミットなども技術解説と共に淡々と展示されています。

ミュンヘン・ドイツ博物館にて
三菱 MU-2

総生産数762機と生産数ではヒット作だったプライベート多目的機(色々あって商売としては採算割れに終わった)。使い勝手も性能も良く、民間や自衛隊だけでなく米空軍でも採用された由。

三菱 MU-300

1983年に初飛行したビジネスジェット機。これも機体としては優秀だったものの三菱の販売力が弱さからなど途中からビーチクラフト社に販売を委託。最後は製造権なども譲渡したという損切り的な結果に終わりました。その後ビーチクラフトにも色々あって名称はホーカー400となっていますが、三菱の手を離れてからの販売が好調だったのが皮肉です。

三菱 MH2000

エンジン、機体共に三菱製のヘリコプター。1996年に初飛行したものの2000年には墜落事故でパイロットが亡くなるという事故があり、それもあってか生産は試作機2機を含め7機のみで終了。

八〇式名市工フライヤー

名古屋市立工業高校の学生達が製作したライトプレーン。八〇式という名前は高校の開校80周年と名古屋市の市章に因んだもの。

訪問時の実機展示は以上でした。

民間機系は商業的に成功しなかったものばかり、ゼロ戦は「大人の事情」で窮屈な囲いの中に押し込まれていたりと、わだかまりの無い展示機は高校生が作った八〇式だけでした。

その他の展示

色々並べられていますが「B767コクピットガラス・提供 全日空」「アンテナ・提供 日本航空」といった説明プレートを置いているだけ。例えばガラスなら何層で厚さは何センチとかバードストライク対策についてとか、もうちょっと興味を持たせる説明が欲しいですね。


ジャンボのメインギアもドンと置いているのみ。

屋上展望デッキ

空港ビル側の展望デッキよりも眺望は良いので天気が良ければスポッティング目当てに来るのもありかなと思いました。



ミュージアムショップ

Fun Bladeという名前で入口にジェットエンジン(恐らくMRJのエンジン)を模したものがあります。


ミュージアムが建っているのは元々国際線の大型機も駐機するエプロンエリアだった場所で、そのコンクリート舗装を切り出したものが1階出口にありました。

エアポートウォークにて


ミュージアムは手に蛍光インクのスタンプを押してもらえば再入場できます。久々の愛知なので昼は隣接するエアポートウォークのフードコートのスガキヤで玉子入りラーメン(370円!)を食べました。これ、ラーメンとして旨いかは正直微妙ですが駄菓子的で懐かしい味なんですよね。


セントレア開港前、小牧に国際線が飛んでいた時代を再現したボード。昔はJALの名古屋・ロンドン便が有ったんですね。

見切り発車でオープンしちゃったのかな...

近隣小中学校の校外学習需要を考えるとこうならざるを得ないんでしょうかね。カッコいい飛行機の実機を見たい層には地味過ぎます。

三菱中心の展示でいくなら見栄えするT-2やF-1でも置けば万人ウケしそうですが、そうするとゼロ戦展示に批判的な層が黙ってなさそう... ミュージアム側の苦労もお察ししますが、例えばアメリカの砂漠で解体を待つジャンボの機首部分だけでも買ってきてコクピットを公開するとか、もっと分かり易くてインパクトのある展示が必要と感じました。

入場料は大人1,000円。展示内容を考えると割高感がありますが、各務原の航空宇宙博物館や長久手のトヨタ博物館との共通割引券もあります。

2023年2月 追記

MRJの試作機もここに展示してくれるのですかね。一部は既に解体処分したそうですが、国からも補助金を500億円以上投入したプロジェクトなのでシレっと全機解体などは許されません。残ったものが淡々と展示されることを願っています。

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