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ソウル在住の日本人が旅行,飛行機,くるま,鉄道,韓国生活について書いております。

MRJ(MSJ)工場見学ツアー/MRJミュージアム訪問の記録

三菱スペースジェット(MSJ・旧称MRJ)のプロジェクト中止が先日発表されました。近年の動向から予想していたとは言え、初飛行も見に行った私としては残念でなりません。今回は2017年11月から2020年2月のコロナ禍まで運営されていたMRJミュージアムと工場見学ツアーに参加した際の模様を振り返ります。

以下、旧ブログ記事からインポート再編集したものです。行き方など、今となっては必要無くなってしまった情報は削除しました(涙)


==2018年5月のブログ記事より==

約2年半振りに名古屋に行く用事があり、ついでに「あいち航空ミュージアム」と「MRJミュージアム」を訪れました。

MRJミュージアム/組立工場の場所

受付~MRJ工場へ

先ずはエアポートウォーク2階の端から渡り廊下を通ってあいち航空ミュージアムに向かいます。


ライト兄弟のフライヤー号が描かれた渡り廊下。


受付ロビーには懐かしいJASレインボーカラーのMD-90が展示されていました。



受付で身分証明を提示しIDカードを受け取ります。


娘と二人で訪れました。あいち航空ミュージアムと両方予約している場合、先ずMRJの受付に行って入館引換券を受け取ります。


1階に降りてMRJカラーのマイクロバスで工場に向かいます。


MRJプロジェクトにはトヨタも出資している関係かマイクロバスはトヨタ製。案内の看板が空港のマーシャラー姿ですね。


バスで向かう先はパンフレット左上写真の「MRJ最終組立工場」。


1階のエントランスホール。

製造業の常識通り内部は撮影禁止。ここで携帯やカメラをロッカーに預けます。

ショールーム展示

改めて注意事項の説明を受けて約90分の見学ツアーが始まります。

ガイドのお姉さんに引率されエレベーターで5階に上がり、床に小牧空港の舗装とペイントを模した長い廊下(手前に"34"という数字や滑走路の白線が描かれている演出)を抜けてシアターへ。以降はパンフレットの番号順に説明を受けました。

断片的に手帳に取ったメモを交えて(メモはOK)内容や印象を記します。

1. シアター

上映内容はMRJ開発関係や初飛行の映像でした。実機の写真が無いと寂しいので、地上滑走試験を見に小牧空港へ行った際の写真を載せます。

2. 実物大の機体モックアップ
  • シャープな機体デザインは日本刀から、MRJのシンボルカラーの黒・赤・金色は漆塗りの色からインスパイアされたそうで、館内に日本刀と漆器を展示していた。操縦席の窓枠周りの塗り分けは歌舞伎役者の隈取りのイメージ。
  • 客室天井のパネルは富士山をモチーフにしたパターンのデザインで洒落ている。
  • シートに座ることができた。クッションは薄いが掛け心地は良く、想定される飛行距離を考えればこれで十分そう。形状を工夫しているのか脚元スペースが広い。
  • 客席窓は「民間機としては最大級の大きさ」とのことで、787ほどではないがA350に近いサイズはありそう。機体が細いので相対的に窓が大きく感じる。
  • 荷物室を床下ではなく機体後部にレイアウトしている効果で2×2列配置の小型機としては天井が高い(通路床面から天井の高さは203cm)。
  • オーバーヘッドビンには機内持ち込み制限MAXのキャリーバッグも収納可。リッドの下部がハンドレール形状になっていて機内を歩く際に掴むことができる。
  • コクピットのディスプレイは15インチ液晶パネル4面。モックアップだからなのかHUDは付いていなかった。
3. 翼とエンジンのカットモデル
  • 地上からの高さを稼ぐため、エンジン位置を出来るだけ主翼の前に出して位置が上がるようにパイロンを設計している。パイロンはアメリカのSpirit社製。
  • P&W製GTFエンジン採用によってライバルより20%低燃費との説明があったが、ライバルのエンブラエルもMRJと同じエンジンのE2シリーズを2019年中に納入開始予定なので、この説明は今や苦しいのでは。
  • 主翼断面の展示が興味深かった。強度UPと軽量化のため、内側の細長いL字型リブは厚さ70mmの母材からの削り出して加工、後から溶接やリベットで取り付けているものではない。
  • 垂直尾翼の材料であるCFRPと通常の軽合金のサンプルを手に持ってCFRPの軽さを体験できる展示もあった。
4. 製造現場の360度画像

一人に一台持たせてくれるタブレット端末を手にはめて上下左右に動かすと組み立て中の機内を好きな角度で見ることができました。端末を上げると天井の画像が見えたりして臨場感があり、参加者から「ほぉ~」という声が上がっていました。

5. その他
  • 100万点以上の部品で構成されるMRJなので部品の管理も重要。必要な部品が必要なタイミングで届くよう、GLC(Global Logostic Control)という仕組みを作っている。
  • 胴体と主翼は愛知県の飛島工場(「アスカ」ではなく「トビシマ」)、複合材製の尾翼は三重の松阪工場で生産される。

組立工場を見学

2階に降りて窓越しに工場を見学しました。内部は2つのエリアに分かれており、一つは胴体、機首、翼や脚などを結合して飛行機の形にする組立工場、もう一方は配線や内装を組み付けたり機能試験を行う艤装工場。塗装は離れた場所の別建屋で行います。


量産時には月に10機の生産能力とのこと。この日、組立工場側では3機の作業中、艤装工場側は1機のみでした。艤装工場側の1機は登録番号JA26MJで6番機とのことでした。

世界で一般人が見学できる飛行機工場はシアトルのボーイング、トゥールーズのエアバスとMRJミュージアムのみだそうです。私は両方訪れたことがあり、MRJの工場なら大体この位だろうと予想していた規模でしたが飛行機の工場を初めて見る人は建屋の大きさに圧倒されると思います。

ミュージアムショップ

工場見学終了後は1階に戻り、10分程度の自由時間があります。



ミュージアムショップ限定の商品もありました。


限定品ではありませんが、"REMOVE BEFORE FLIGHT"ではなく"The Game Changer"と書かれたタグを記念に購入。

自由時間後はマイクロバスであいち航空ミュージアムに戻り解散でした。

最後に

この時は"The Game Changer"が"Game Over"になるとは思いませんでした...

先日乗り物ニュースに、MRJのモックアップは横浜の「三菱みなとみらい技術館」にも展示されているとの記事が出ていました。今となっては黒歴史になってしまったMRJなのでそのうち撤去されるかも知れません。

trafficnews.jp

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