先日のドライブ旅行で江原道・束草の北、高城(고성/コソン)統一展望台を訪れた記録です。
高城統一展望台の場所
38度線と言っても勿論厳密な直線で北緯38度という訳ではなく半島東側に行くほど北側に線が引かれており、民間人がアクセスできる北限がこの高城統一展望台です。グーグルマップの緯度情報は38°58'84となっています。
車で展望台を目指す
一番近い都市は50km南の束草(속초/ソクチョ)。展望台まで路線バスなどはなく車で行くかタクシーをチャーターするしかありません。また、手前の道の駅のような施設内で入境手続きをしてからDMZ(De-militarized Zone=非武装地帯)制限エリアに入る必要があります。
昭和の運転免許センターのような手続き窓口。結局提示は求められなかったもののパスポートは持参した方が良いでしょう。
入場料なのか手数料なのか、一人3千ウォンを払いました。
ビジターセンターでは地元名産の干物や山菜などを売っています。
地元高城郡の観光案内図。
検問所を経て展望台へ
有事にはバリケードになるものでしょうか、迷彩塗装の施設を見ながら自動車専用の国道7号線を北上します。
検問所でマシンガンを持ちながらも礼儀正しい兵士に先程の手続き書類を提示して入域許可証を受け取るのですが、やはり黒光りする銃を間近に見ると緊張感が高まります。
許可証はダッシュボードに掲示します。
管理エリアに入ります。
南北の緊張が一時的に穏やかだった時期に行われていた北朝鮮の金剛山(금강산/クムガンサン)観光はこの立派な道路を経て行われていましたが今は閉鎖されています。
脇を並行する田舎道を通って展望台を目指します。
統一展望台
矢鱈と立派な高城統一展望台。
スマホの地図を見て北への近さを実感します。
朝鮮戦争で活躍したF-86や装甲車。
4階の展望室。
ガラスが少々汚れているのが残念。
下には北の侵入を警戒するフェンスと、アリバイ的にこのゾーンだけ敷かれた鉄道線路が見えます(そもそも韓国側は束草までさえ鉄道路線は未開通)。
2階の展望デッキは外に出られます。
向こうの岩山は北朝鮮です。
望遠で見ると街路灯が途切れているのでよく分かります。
スマホのパノラマ写真です。
DMZ博物館
展望台の少し南にあり入館料は無料です。
北に向いた、巨大な投光器とスピーカー。
案内図に「対北心理戦装備」とありますので宣伝放送などに使うもののようです。
朝鮮戦争時の装備や南北間の事件などの展示。
DMZに埋設されている地雷。
数少ないDMZによるプラスの面。人の手が入らないエリアなので野生の楽園になっており、貴重な動植物の生息地になっています。
駆け足で観覧しましたが、その他の展示も興味深い内容でした。
開城(ケソン)工業団地での生産品。
平昌オリンピック、アイスホッケー南北統一チームのユニフォームと選手のサイン。
左のペナントには「朝鮮人民軍」とあります。
昔の対北宣伝ビラ。統制の厳しい北の男たちは鼻血ブーだったことでしょう。
こちらは北の対南プロパガンダ。
DMZ哨戒所のペーパークラフトがミュージアムストアに売られていました。
最後に
首都ソウルに近い半島西側に位置し、政治的にも軍事的にも重要な板門店と比べるとヒリヒリするような緊張感はありません。ソウルからツアーで訪れた(ツアーでしか行けません)板門店訪問記のリンクを貼っておきます。
今回訪れた高城統一展望台、途中の道も含め景色はとても良いので車があれば一度どうぞ。