先日のブラタモリで大井川鉄道のアプト式路線が紹介されていました。拙者、アプト式を含むラックレール式鉄道ではフランス・リヨンの急勾配地下鉄路線に乗ったことがあり、乗り物好きの私としては貴重で面白い経験でありました。
リヨン・メトロC線
オレンジ色が市内中心部からCuireという丘の上の街に向かうC線、途中駅は3つだけで5kmほどの短い路線です。メトロ網が張り巡らされたパリとは違いリヨンは4路線しか無く、ラックレール式+鉄輪のC線以外はゴムタイヤ式です。
路線図出典: Wikipedia
世界一の急勾配地下鉄
メトロA線との乗換駅、Hôtel de Ville(オテル・ド・ヴィル=市庁舎)にて。真ん中のギザギザしたのがラックレール。
地下鉄としては世界一の急勾配を登る路線を記念した展示。最大勾配は17.5%(パーミルでは175‰)に達します。日本の急勾配だと大井川鉄道が90‰、箱根登山鉄道は80‰、懐かしの碓氷峠は66.7‰でした。
フランス語の”CREMAILLERE”をWeb辞書で調べたら”ラック・アンド・ピニオン”という自動車のパワステでよく目にする言葉が出ました。機構を考えると納得です。
車両製造はスペルがALSTHOM時代のアルストム。
Wiki先生によるとラックレール式はアプト式以外に色々なタイプがあり、これはシュトループという方式に分類される由。こってり塗られた潤滑グリスの匂いが漂います。
地元密着型の生活路線っぽい客層でした。
起点のHôtel de Villeを出ると次のCroix-Paquet(クロワ・パケ)まで最高勾配区間を通ります。この車両、吊り掛け式なので勾配では特有の唸り声がラックレール越しもに響いて来て、如何にも「頑張って登ってます!」的な力強さを味わえます。
次のCroix-Paquet駅にメトロとしては有り得ない角度で停車。都市のメトロとは思えない登山鉄道のような駅の造りに驚きます。
3番目のCroix-Rousse(クロワ・ルース)駅。元々ケーブルカーだった時代は麓からここまでの路線でした(今とルートは少し異なります)。この更に上はラックレース化されてメトロC線になって敷かれたルートとなります。
以降も勾配が続きますがラックレールは当駅まで。ここから終点直前までカーブが断続する地下区間を通常の粘着式で進みます。
終点のCuire(キュイール)駅にて。雨が本降りだったので写真を撮りそびれましたが中層アパートや商店が立ち並ぶ落ち着いたエリアのようでした。
リヨン・メトロA線とD線
メトロA線
C線からA線への乗換駅、Hôtel de Villeにて。
A線の車両はゴムタイヤでなのでC線とは別車両ですが、顔つきは共通した独特のなごみ系。ごちゃごちゃしたホースなど無く、味わいのあるデザインですね。
メトロD線
ホームドア無しでも全自動運転という割り切りが素敵なD線。無人化した動機の一つがストライキの多さという点がフランスらしいところです。
かぶりつきポジションを楽しむ髭面の兄さん。
勿論、子供達も楽しんでいました。
人口51万人のリヨン市
フランス第2の都市リヨンにしてはメトロ車両の編成が短いことが気になってフランス3大都市の人口を検索してみました。
パリ |
パリ市 |
221万人 |
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パリ都市圏 |
1,250万人 |
リヨン |
リヨン市 |
51万人 |
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リヨン都市圏 |
229万人 |
マルセイユ |
マルセイユ市 |
86万人 |
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マルセイユ都市圏 |
175万人 |
行政区分の考え方が異なるので単純比較はできないものの、日本で50万人規模の市は姫路、宇都宮や松戸。何だか渋いですね。
フランス第2がリヨンなのかは議論が分かれるそうで、都市圏人口順でリヨンという見方もあれば市の人口順でマルセイユとの主張もあるようです。
次回はリヨン街歩き編です。