泗川エアショー1日目の後は地元の海産物を味わえて、しかも韓国では珍しい飲み放題の店で一杯やりました。
泗川エアショー前回編
飲み放題酒場「黄土実費(황토실비/ファントシルビ)」
店名の「実費(韓国語で”실비/シルビ”)」と聞いて「ん?」と思いましたが、元々は食材を持ち込むとおばさんが適宜料理して出してくれるという食堂の業態で、昔はソウルにもあったものの近年は殆ど無く、今回訪れた泗川がある慶尚南道でも数軒しか残っていない由。この店はこの旅に同行した義妹(NAVER検索の達人)が調べてくれました。
普通ならスルーしそうな店構え。
周辺はこじんまりとした地方都市といった雰囲気でした。
参考書などが中心の書店。日本の田舎町にそっくりな雰囲気で落ち着きます。
右の黄色いイラストに激似のおばさんが一人で切り盛りしています。
テーブルに着くと取り敢えず肉チヂミやイカタコなどが供されます。食材持ち込みシステムだったのは貧しかった昔のことで今はお任せ・手ぶらでOK。日本同様インフレが進む韓国ですが2022年10月時点、一人35,000ウオンのセット価格。単品メニューは無しというのが潔い。3人以上で予約可能です。
出てくるものを写真に収めていたらどんどん増えてきたぞ。
飲み放題
飲み放題システム自体が韓国の飲み屋では基本的にはありません。この店は無造作に置かれたアイスボックスから客がビールを取り出して自由に飲みます。焼酎も別の冷蔵庫から持って来るという、呑兵衛にとってはパラダイス。
右の赤いものは明太子をほぐしたもの。
どう食べるのかと言うと...
おばさんが薦める通りに薄切り肉のチヂミにのせて食べると実に美味です。
韓国刺身屋の定番、韮のチヂミ。
地味な存在ながら記憶に残る干し太刀魚の辛味和え。
カミサン姉妹の好物、ケジャン(生渡り蟹の醤油漬け)。
貝類の競演
貝類やホヤで焼酎が進みます。
刺身
無造作な盛り付けですが白身は天然モノの平目。これが旨味満点の絶品で「熟成させたものですか?」と聞いたところ先程捌いた活けとのこと。右はこの時期が旬のコノシロを骨ごと薄切りにした刺身。
これも無造作に盛られた蠣。
何だか醤油も旨いなと思ったら、やはり量販品ではなく産地から取り寄せているものとのこと。
世界で2番目に臭い”ホンオフェ”
この日の個人的ハイライトがエイを発酵させたホンオフェ。何度か食べたことがありますが、口に入れるとアンモニア臭(サメやエイなど軟骨魚類は死ぬとアンモニア発酵する)がガツンと来る韓国珍味の王者。スウェーデンのシュールストレミングに次いで世界で2番目に臭い食べ物と言われています。
豚の五枚肉(皮付き)の茹で豚肉、ポッサムと共に供されます。
ここで助っ人になるのがキムチの古漬け。これ自体ハードルが高いのですが...
これらを一緒に食します。
更にニンニクや薬味味噌も一緒に口に入れると刺激交じりで何とも複雑な味と匂いや風味が広がります。これ、好き嫌いがはっきり分かれますが独特の旨味に私はハマってほぼ一人で完食。カミサンと義妹は「これをパクパク食べる日本人に初めて会った」と呆れておりました。
因みにこちらは以前、全羅道・木浦の老舗で食べたホンオフェ。更に発酵が進んでいたのか色も違いアンモニア臭も激烈で、ストライクゾーンの広さを自任する私でも完食には至らない難攻不落の珍味でありした。
この日は発酵していないエイも出ました。これはこれでカレイに似た風味と軟骨のコリコリ感が美味く、アンモニア臭はありません。
アンコウとイシモチ
既に腹九分目なのにまだ出てきます。次はアンコウ。
身だけでなくコリコリの胃や、肝も勿論あって更に焼酎が進みます。
最後は韓国では高級魚であるイシモチの塩焼き。ここらでベルトを緩めて食します。
インスタ映えなどとは無縁の佇まいですが愛すべき店でした。来年もエアショーに合わせて来たいな。
15分ほど歩いてホテルへ帰還。散々飲み食いしたのに途中コンビニでビールなどを買い込んで部屋で二次会。充実した一日でした。
余談
飲み放題の店でしたが申し訳無いぐらい食べ物を次々に出してくれたこともあり、この日の我々は「飲み残したらあかんぞ」と、却って普段より控えめに飲んでいた気がします。
翌日は益山(イクサン)に一泊してソウルに向かいました。
次編に続きます。