コロナ感染が鎮まらない韓国ですがソウルモーターショー(改称されて正確には”モビリティーショー”)は予定通り11月25日~12月5日に亘って開催されました。
公式サイト
場所はソウル郊外、高陽(コヤン)市のKINTEX(韓国国際展示場)。江南のCOEXをビッグサイトとするなら幕張メッセに相当するといったところでしょうか。
規模はかなり縮小
このモーターショーを訪れるのは2017年に続き2度目でしたが、随分ショボくなったな... というのが率直な印象。韓国メーカーは現代・起亜グループのみ、外国車はベンツ、BMW、アウディのジャーマン3にポルシェとマセラティー、それと中華EVいくつか出展するのみ。写真の通りいすゞもいました。
こちらは2017年、華やかなブースを出していたルノーサムスン。今回、韓国GM(旧大宇)、サムスン、双竜(サンヨン)の”Bチーム3社”は非出展。国内シェアの7割以上を現代・起亜グループが占める韓国市場ですがBチームの苦境が伺えます。
初めから盛り下がる話を書きましたが、以下、目についた展示を書き留めます。
現代ジェネシス
レクサスの二匹目のどじょうを狙うジェネシスは現代とは別ブースの出展。EVに絞った展示だったのでタイガーウッズが事故って重傷を負ったSUVのGV80は見られず。
そのGV80より一回り小さいGV70(レクサスNXのセグメント)。V6、直4に今回フルEVが追加されました。
キャラクターラインを入れ過ぎで余り感心しないデザイン。
しかし、このコンセプトモデルは実にクールでバランスの良いデザイン。
灯火類を2つのラインにするのが近年ジェネシスの共通モチーフになっています。
FRの大型セダンG80。主力モデルはV6・3.5LターボですがEV仕様が追加。
造りや質感は中々のものです。
ルーフのソーラーパネル。
EV専用のニューモデル、GV60。
シフトはガラス(本物)の玉。パワーONにするとくるりと反転します。
お世辞にも広いとは言えないラゲージスペースですが、ライバル各車も似たようなものですね。
現代自動車
海外での読み方をヒュンダイから本来の韓国語発音であるヒョンデ(현대)に統一しようとしている現代自動車。市販車の目玉展示はこのCASPER(キャスパー)。
韓国の軽規格(排気量1000cc)でSUVテイストと、ハスラーやタフトにインスパイアされたものと思いますが、無理に高そうに見せようしないPOPなデザインが良い感じです。
韓国でも車中泊の人気が高まっており、今回はこういった演出の展示が他にもありました。
バーベキューコンロの鉄板がサムギョプサル仕様というのが韓国らしい。
インパネも無理にスポーティーさや高級感を求めず好ましい雰囲気。
室内スペースはそれなり。ってか、スペース効率を執拗なまでに追及する日本の軽は凄いと思います。
今年夏にモデルチェンジされたアイオニック、ハイブリッドからフルEVになりました。ソウル市内でもちょくちょく見掛けます。
横長の液晶パネルを横に並べるのがこの手のモデルの定石。
カメラ式サイドミラーをどう処理するかは各社試行錯誤中ですな。
日本市場への導入が取り沙汰されているFCV(水素電気)のNEXO。「ネクソ」だと「寝糞」になるので日本では「ネッソ」の表記だけど無理があるんじゃないか?
これも「意識高い系」のインパネ。
未来のNEXOオーナー。
こちらはFCのトラック。
攻めたデザインのミニバン、スターリアはボンゴ・フレンディーのようなルーフテント仕様を展示。
EVのプラットフォーム。
今年6月、釜山旅行を兼ねて見に行ったポニーEV。やはりジウジアーロデザインは良いっすな。
現代はトヨタのGRをパクって インスパイアされてスポーツ系を”N Line”としています。
ソナタやアバンテ、SUV系など、売れ線モデルの展示はありませんでした。
起亜自動車
SUVのニューモデル、Niro。
現代のブースに展示されていたものとほぼ同じEVのプラットフォーム。同じグループなので当然ですが。モーターのラバーマウントはやはり内燃機関エンジンマウントよりかなり小さく、サスブッシュ+α程度の大きさ。
このプラットフォームを使うEV6。中々のイケメンであります。
キアのデザイン責任者はアウディーでTTのデザインを手掛けたペーター・シュライヤー氏。それもあってか近年攻めたデザインが多い気がします。
フラッグシップのK9。プラットフォームはジェネシスG80と共通のFR。
今年リニューアルされたKIAエンブレム。
FF系の最上級車種のK8。
プラットフォームはソナタ系でその上級なので、現代グレンジャーの兄弟車。
韓国版アルファード・カーニバル。セダン好みで保守的だった韓国ですが、旧モデルの出来が良かったこともあって中々人気あります。
展示車はハイルーフの最上級モデル。アジアカー的な分かりやすい世界観。
「わあ、ファーストクラスだぁ!」と観客の人気を集めていました。
アジアカーとバカにするのは簡単ですが、これ、韓国以外でも良い値段で好調に売れてるんですよね。アルファードや兄弟車レクサスLMを否定的に見るのもクルマ好きとして理解できますが、こういった車種でしっかり稼ぐのはビジネスとして正しいと思います。
軽トールワゴンのRAYも車中泊に寄せた展示。
最後に
好奇心から調べた2020年の韓国市場におけるメーカー別実績です。
メーカー | 台数 | シェア |
現代 | 787,854 | 41.9% |
起亜 | 552,400 | 29.4% |
ルノーサムスン | 95,939 | 5.1% |
双竜 | 87,888 | 4.7% |
韓国GM | 82,954 | 4.4% |
輸入車 | 274,859 | 14.6% |
合計 | 1,881,894 | 100.0% |
現代起亜の寡占は知っていましたが、ゾンビ企業の双竜が意外と健闘していてちょっとびっくり。独特の市場であります。
2021年ソウルモビリティーショー、次回は韓国メーカー以外について記します。