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【パトルイユ・ド・フランス】フランス空軍アクロバットチームをアルプスの麓・グルノーブルで見る

東京オリンピック閉幕式、パリへの引継ぎセレモニー映像にフランス空軍機がカラースモークを曳きながらパリ上空を飛行する映像が映し出されました。ご存知の方も多いかと思いますが、フランス空軍アクロバットチーム「パトルイユ・ド・フランス」であります。

これまでのところ私はパリ航空ショーと、グルノーブル(1968年冬季オリンピック開催都市)のエアショーで見たことがあります。今回はグルノーブルでのパトルイユ・ド・フランスを中心に記します。

Patrouille de Franceとは?

スペルの通り"patrouille"(パトルイユ)は英語だと"patrol"に相当しますがフランス語では「~隊」の意味もあり、直訳すると「フランス隊」。何だかしっくりきませんが個人的には「サムライJAPAN」のような言葉のニュアンスかなと勝手に理解しました。某通信社のオリンピック関連記事には「フランス空軍の『パトロール隊』」なる珍訳もあって苦笑。哨戒機じゃないんだからさ...


8機による途切れることのない演技構成とカラースモークを駆使する典型的なヨーロピアンスタイル。レッドアローズ(英)、フレッチェ・トリコローリ(伊)と共に「ヨーロッパ御三家」と並び称されます。公式サイトによると設立は1953年(諸説あり)。

使用機種

初代のF-84以外はフランス製の戦闘機か練習機を使用しています。現在の使用機種はダッソーが独ドルニエと共同開発したアルファジェット。双発のジェット練習機ということもあって我らがブルーインパルスのT-4と似ています。


パリ、ル・ブルジェのフランス航空宇宙博物館前に展示されているパトルイユ先代使用機、V字型2枚の尾翼がユニークなフーガ・マジステール。

パトルイユ・ド・フランスの魅力

他のヨーロッパ御三家と同様に機数の多さを活かした途切れない演技構成、カラースモーク切り替えの妙技は圧巻。更に、時々織り込まれるユニークと言うかトリッキーな動きはハイドロシトロエンのような数々の変態グルマを作ってきたフランス人ならでは。

グルノーブルエアショーにて

この時(2018年7月)のヨーロッパ訪問でスケジュールに合ったのがこのエアショー。英語での情報が皆無だったので頑張って色々調べたり地元の観光局にメールで問い合わせたりと準備し、パリからTGVを乗り継いで行ってきました。

グルノーブルの場所

フランス南東部、アルプスの麓的なロケーション。エアショーはその郊外の小さな飛行場で開かれました。


長閑な田舎の飛行場でした。

グルノーブルでのパトルイユ・ド・フランス

前置きが長くなってしまいました。このエアショー、日没後のトワイライトフライトも売りなのでパトロイユのフライト開始も17時半過ぎ。いくら日が長い夏のヨーロッパと言えどもかなり日が傾く時間帯なので撮影条件は良くありませんでしたが、夕焼けでのアクロバット飛行を見る貴重な経験ではありました。


滑走路や地上設備が充分ではない田舎の飛行場なのでフライトはリモートでの実施。本番2時間ほど前に確認飛行に現れた通常仕様とアクロ仕様のアルファジェット。



山の向こうから3色のスモークを曳きながら登場。



背後に山が迫る条件をものともせずループを行います。






山肌に沿うように上昇。


まめにスモークの色を切り替えます。


そして、トリコロールに切り替わる度に場内から歓声が上がります。


ヨーロピアンの定石通り、前半は隊形を変えながら全機での編隊飛行。


4+4に分かれて同時にループ。


この部分は、まるで2つのチームを見ているかのようです。




それにしてもスモーク色が濃い。JPEG撮って出しだとギトギトなのでこれでも彩度を少し抑えています。


機数の多さを活かして2機・2機に分かれたりと息つく暇がありません。また、その間に残りの機は次の科目に向けてスタンバイしています。



クロスも近い。




撮り損ないましたが、これはこれで有りかなと...


それにしても高度が低い。
先日のパリでのオリンピック飛行ではエッフェル塔(高さ324m)よりも大幅に低い高度でフライパスしているように見えました。


ハートは3+3+2の全機で描きます。






他では見たことの無いマニューバー。2・3番機が背中合わせでナイフエッジ、4番機が背面飛行。この姿勢を維持しながらパスしてゆきます。凄いの一言。



と、感動していたら....


再び2 vs 2でのクロス。
もうすぐ18時、かなり日が傾いてきました。



バーズやブルーズばりの密集隊形。
遠かったので思い切りトリミングしてます。


前方から6機でコークスクリュー。




これでもかとロールを続けながらパスするのはレッドアローズ同様。


コークスクリューを見ると「あ~、そろそろ終わりかぁ、楽しかったなぁ」と思うのが日本人航空ファンの習性。「ありがとー、メルシー、僕」と見送っていると...


戻ってきたぞ。


因みに場内アナウンスはフランス語のみ。私はフランス語が分かりません。



ダイアモンド隊形でループへ。フランス語で「ディアマン」と言っているのは聞き取れました。



このエアショーらしい雰囲気で気に入っている一枚。


フライト開始から30分以上。そろそろフィナーレっぽい感じです。



先ず4番機が一気に上昇し、


直後に7機がブレイク。
ラストも一捻りがあるパトルイユ・ド・フランスでした。

最後に

パリエアショーでもパトロイユを見ましたが場所柄色々制約があるためか、かなり端折った演技構成でした。一方、パリではやったけどここグルノーブルではやらなかった科目も有り、山に近いロケーションに合わせていた模様。

そもそもこのチームはレパートリーというか持ちネタが多く、他のエアショーでも改めて見たいなと感じています。行き易くて飛行条件に制約が少なく、英語も通じて無難なのはやはりRIATかな。

エアショーも見応え充分だったグルノーブルは美しい街でした。

グルノーブルの街などについては別記事にて。

他の欧州御三家

余談

アメリカ空海軍の各チームなら「バーズ」や「ブルーズ」、イギリスは「レッズ」といったマニア界での略称があります。日本はズバリ「ブルー」と実にクール。では「パトルイユ・ド・フランス」は何と呼ぶべきでしょう?「パトフラ」?うーん、JK言葉みたいだ... では、頭文字で”PDF”?いかん、これじゃファイル形式だ...

今回はとりあえず「パトルイユ」と書きましたがスイス空軍のアクロチームも「パトルイユ・スイス」。スペインには「パトルーラ・アギラ」もいます。

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