前々回のポスティングで寒ブリ刺身を食べたことを書いたばかりですが、早春の味覚とされているトリガイのしゃぶしゃぶを味わってきました。
訪れたのは순천집=スンチョンチプ。店名は朝鮮半島南西部の海沿いに位置する、全羅南道・順天(スンチョン)に因んだもの。場所は1号線のデバン(大方)とノリャンジン(鷺梁津)の中間辺りの大通り沿いにあります。
小綺麗なビルの2階にあります。
ムツゴロウ(짱뚱어)、コノシロ(전어)、タイラギ(키조개)、ハモ、イイダコなどの珍味が列記されています。
改装か移転して日が浅いようで店内も綺麗でした。
鍋系だけでなく焼肉スタイルで焼く穴子(붕장어)もあります。
トリガイしゃぶしゃぶは冬から春の季節メニュー。9万ウォンと中々の値段。6~8月のハモしゃぶなど、他にも食欲をそそるメニューが並びます。
わかめや白菜、ニンニクなどの入った鍋がセットされます。
本日の主役、トリ貝が降臨。この日は家内と二人で食べましたが、4~5人でも充分なボリュームで9万ウォンという価格は納得です。
タイラギの貝柱も添えられています。
韓国なのでサンチュやわかめはお代わり自由。
では、早速しゃぶしゃぶと。
10秒足らずスープに潜らせます。
トリガイ=鳥貝という名の通り、鳥の嘴のような形。韓国語の"새조개"も、새(セ)=鳥、조개(チョゲ)=貝。日本語からの直訳かも知れません。
タレは酢コチュジャンかワサビ醤油。
ニンニクに醤油をつけてわかめと一緒に頬張ると、口の中に磯の香りが広がります。う~ん、これはたまらん。
こうなると焼酎ですな。近年リニューアルした眞露。
酢コチュジャンで食べてもいけました。
タイラギの貝柱。
貝類ばかりだと単調になりそうなものですが、流石は食の宝庫とされる全羅道料理。付け合わせも美味なので箸が進みます。
特に旨かったのがこの塩辛。しっかり発酵させているので好みの分かれる珍味ですが、コノワタや酒盗が好きな方なら口に合うでしょう。
キムチも勿論旨い。
貝に入っていた蟹も、憐れ道連れに...
食が進み、残り少なくなったトリガイ。
ラストのひとつまで美味しく頂きました。
無数の貝から出た出汁は雑炊で味わい尽くしましょう。
スープは一旦厨房に持って行き、ご飯、メセンイ(매생이)という細い繊維の青海苔、胡麻油を入れて供されます。
煮えたところで煎り胡麻を投入。トリガイからの出汁も相まって、これが旨くない筈がありません。
これがまた焼酎に合います。もう一本追加してしまいました。
どろどろになり過ぎないようにか、ご飯には麦も入っていました。
完食!
フルムーンパスを買える歳になった我々夫婦ですが、最後の一口まで旬の味覚を堪能しました。
外に出るとみぞれ混じりの冷たい雨。腹はベルトを緩めても苦しいほど満腹。タクシーで帰宅しました。