いつものように一杯飲みながらヤフオクをフラフラと見ていたらAPSフィルムの一眼レフという珍品、ニコン プロネア600iが出品されていた。
元箱、取説、純正ストラップ、キャップ類全て完備で程度も良さそうなものが5,000円。入札期限まで余り時間が無いにもかかわらず入札者はゼロ。そりゃそうだろう。今更絶滅寸前のAPSフィルムカメラ、しかも一眼レフを使う人はおらんだろう。
あれ、何故か手元に届いているぞ(笑)
貴重な元箱が残っていること、IX Nikkorという珍玉付きであること、それから、コロっとしたデザインが気に入って、ほろ酔い気分で落札してしまった。
よっぽど早く手放したかったのか、出品者はこちらが代金を振り込む前に発送してくれた。
発売された1996年当時の定価はボディー83,000円+レンズ24,000円=計107,000円。レンズはともかく、ボディーは結構高かったのだ。
定価8万円以上の割には高級感に欠けるボディー。
ポップアップ式のストロボ。チャージには少し時間が掛かる。
鳴り物入りで登場したのにすぐにデジタル化の激流に飲み込まれてしまったAPS規格。撮影データの書き込みや、撮影途中で一旦巻き戻して別のフィルムを入れたり、また途中のコマから撮影再開することも可能というのも売りでした。
フィルムはポコッと入れて蓋を閉じるだけでOK。
背面に大きな液晶が付いているのでデジカメのように見える。設定は液晶周辺のボタンとボディー右肩のダイヤルを組み合わせて行う。
青緑のイルミネーションが美しい。
BASICモードでは風景やポートレート等、お任せ撮影モードを選ぶことができる。
右上に太陽と椰子の木のアイコンが表示されているのはシルエットモードで、夕日を背景に被写体のシルエットを写すモード。
モードダイヤル横の小さいカバーを外すとレリーズの穴が現れる。電子化されたカメラなのに何故か昔ながらのネジ式メカニカルレリーズ。
付いていた標準ズームレンズはIX Nikkor 24~70mm f/3.5~5.6。35mmフィルム換算では約1.25倍換算だそうで30~87.5mmに相当する筈で、旅行や家族スナップでは使いやすい画角だろう。
普通のDXレンズと並べてみた。
マウント面より後ろが出っ張っているのでニコンのマウントでもAPSフィルム規格の一眼レフカメラ(結局プロネアしか発売されなかったが)以外には取り付けられない。因みに、APS-CフォーマットのD300には付けられなかった。
しかし、逆にDXレンズは取り付け可能。広角側では端がケラレるが少し望遠側にズーミングしてやると全く問題無い。しかも、AF-Sの超音波モーターも動くのでAFも可能。VRも問題無く効くようだ。
意外にDXレンズがよく似合う。
ファインダー内
APS-Cサイズを選ぶと「フレームはここまでですよ」と赤い三角の表示で教えてくれる。
懐かしのパノラマ。左の赤い表示が範囲を教えてくれる。要はパノラマとは上下をカットするだけだったことが理解できる(笑)
D300と並べてみた。
大きさはD40とD80の間ぐらいだろうか。APSのメリットを活かしきれず、ボディーはイマイチ小型化できていない印象。
18-200mmVRが使えるのは発見だった。飛行機写真で試写してみようかな。
APSフィルムは絶滅寸前(ってか、まだ一応手に入る)でフジのISO400かKodakのISO200ネガしか選択肢は無いようだ。
私は何故このカメラを買ったのだろうか?
しかし取説を読みながらいじっていると中々楽しい。